個別ケース紹介

空家の福祉転用 利生院

福祉施設転用

05玄関から見た庭_mini07十体のお寺僧様_mini

福岡市早良区にあるお堂。利生院。
350年もの間、地域を見守り続け、地域に愛された、このお堂の最後の堂守さんがお亡くなりになって2年が経ちました。
このお堂を受け継がれ方より、「利生院の土地と建物を地域貢献や社会貢献に使って欲しい」という故人の遺志を引き継いでいただける方に使って欲しいというご依頼があり、この度、当団体でお受けすることになりました。

風情のある石段を登ると、玄関脇に佇む利生院の歴史を刻んだ石碑には「利生坊」「元文3年」の文字が。その脇を抜けて入る、手入れが行き届いている小さな庭には、季節の移り変わりを演出してくれる様々な庭木が賑わいを見せ、その奥に建つ不動明王をお祀りしているお堂と13体のお地蔵様を包むように広がっています。

06冬の庭_mini

04庭から見た玄関_mini

母屋と離れは、日本の伝統建築の影響が色濃く残っており、小さいながらもどっしりとした風格を持ち、敷地の中心に建っています。建物の中は、自然美を屋内に取り入れた欄間、手入れと掃除が行き届いた障子や襖、雨戸を開けると屋外の光が畳に映えて美しい紋様を作り出します。
母屋の3間を仕切る襖を開くと、1つの大きな広間に。お堂時代には地域の皆さまがここに集まり、寄り合いを開いたり説教や説法を聞いたことでしょう。
母屋から続く狭い縁側を抜けた先は8畳ほどの離れがあります。訪れるお客様に開かれた母屋と違い、堂守さんの秘密基地だったのでしょうか。大切にされていた人形や思い出の詰まった箪笥などがひっそりと残っていました。

現在、この古家を、障害者を中心とした、地域貢献型の福祉サービスの拠点として再スタートする準備が進んでいます。長年この地域で愛された利生院が、この後もずっと地域貢献と福祉の役に立っていくことは、堂守さんとそのご遺族のご希望でもありました。そして、再び、この重要な役割を担った利生院も、心なしか喜んでいるようです。
この夏の間、その使命を果たすための改築作業が進んで行きます。

C36FB49E-C04C-4EC4-A9BD-C3DE28AD97E5 2E8130D3B-F5D7-4AA2-8615-951CBE44BF19 2

IMG_1984 2IMG_1995 2